公園はなにをする所?

 ある晴れた休みの日に、家で作ったお弁当と水筒をもって公園にお出かけ。芝生広場にシートを広げ、駆け回る子ども達を眺めながら親は木陰でゆっくり過ごす。世界中のどこでも見られる家族の光景だと思います。

 先の公園に訪れる家族のワンシーンですが、ぶらりと散策の途中に利用する、ごろ寝しにくる、何となく行ってみる、子供と一緒の時間を過ごすなどの行為を専門用語で「不特定目的性の機能」と呼びます。

 こんな何気ない当たり前の行動にまで専門的な呼び名がついていることがまず驚きではないでしょうか。

指定管理者制度と公園

 我々(株式会社TONZAKOデザイン)は、公園や緑地の設計に携わる一方で、指定管理者の一員として公園の管理・運営にも関わっています。このサイト内でも一部紹介しておりますが、公園の一角を使ってイベントや体験プログラムを実施しています。

 指定管理者制度とは、2003年6月に地方自治法第244条の改正に伴い導入された制度で、公の施設の管理に民間の能力を活用してサービスの向上や経費の削減を図ることを目的とした制度です。その制度を利用して、近年は公園で様々なサービスを提供し経済活動を活発に行う流れが生じてきています。

 簡単にいうと、公園が、「自由気ままに過ごしていいよ」という場所と、「目的に対して対価を支払ってもらう場所」という性質を併せ持った空間となるのです。

 公園に入るために入園料が発生する訳ではありませんが、体験プログラムなど管理者によって提供されるサービスを来園者が購入(体験)する性質を持ち始めています。

 集客するということは、どんな人に来てもらうか、どんな体験をしてもらうかなど、様々なことを突き詰めていく必要があります。

 万人に開かれた公園という従来の公共空間にもたれがちなイメージとは異なり、集客をするためには対象を特化させていく必要があります。突き詰めれば一人の顔を想像しながら、その人が楽しいと思うかどうか、来てもらう人をかなり選び抜いた末にできあがるのが集客というサービスになります。

これからの公園と設計者の役割

 目的なき訪問者と、目的を持った訪問者がうまく共存できるスペースというものが、公園に求められる役割になっていくなかで、設計という職業が果たすべき役割はどのように変化させていくべきなのでしょうか。

 区画で分けるのではなく、お互いの目的を損なうことなく両立できるような空間的な配慮など、設計という職業の役割が、サービスや運営の地盤をつくる役割へと意識的に変化していく必要があるのではないかと思います。

公園のあるべき形とは?

 指定管理者業務では、自分たちで考えた企画を、直接サービスを受けるお客さんと公園の一角でプログラムを実施することになります。企画だけ考えてイベント業者に依頼すれば簡単かもしれませんが、それでは設計と公園の運営を融合させた強みにまで成熟させることはできないでしょう。

 自分で考え、お客さんとの対話の中で公園やプログラムを見直すことを繰り返す。この過程を経験できるからこそ、これらかの公園と設計者の役割というものを見つけていけるような気がしています。

Written by 人見