今年もいよいよ年の瀬が押し迫ってまいりました。
クリスマスの飾り付けに、こんなオーナメントいかがですか?
冬ならではの自然観察
この時期、すっかり葉を落とした樹木を見上げると、今まで気づかなかったものが見えてくることがあります。
先日こんなオシャレなものを見つけました。
薄い黄緑色をしたものがぶら下がっています。よく見ると、枝先のあちらこちらにブラブラ~。
「ウスタビガ」の「ヤマカマス」
正体は、「ウスタビガ」というヤママユガ(山繭蛾)の仲間の“まゆ”。
木の枝から自らの糸で作った柄を“まゆ”の上部につないでぶら下がっています。この形から、“まゆ”は「ヤマカマス」「ツリカマス」などと呼ばれているようです。
ちなみに、「カマス(叺)」とは、藁(ワラ)を編み込んだ筵(ムシロ)を、二つ折りにしてつくった袋のことで、穀物や塩、石炭などの保管・運搬に幅広く使用されていました。
また、「ウスタビガ」は、漢字では「薄手火蛾」と書かれたりしますが、「手火(タビ)」とは、提灯のこと。木にぶら下がる薄緑色の“まゆ”の姿から名付けられています。
さて、この吹きっさらし、丸見えの環境の中、“まゆ”(さなぎ)の状態で冬越しをするのかな?と調べると、どうやら中身はすでに羽化していて、抜け殻のようです。
“まゆ”を作るのは6月頃、ぶら下がる樹木は青々と葉が茂っています。その頃は色が同化し、しっかり擬態できている状態。その後、“まゆ”の中でさなぎになり、10~11月頃、羽化し、成虫として活動します。
大きな体、大きな目玉模様が特徴のヤママユガ
そういえば、秋頃、家の窓辺にやってきた大きなガがいました。翅に大きな目玉のような紋がある、これはヤママユガの仲間の特徴です。
調べると、これこそが「ウスタビガ」でした。そして、置き土産の卵があちらこちらに。。。
ヤママユガの仲間は、成虫になると口が退化し、一切の食事が出来ないようです。羽化後、飲まず食わずで、生殖のためだけに活動し、次の世代を生み出すという。。。
今年も、涙ぐましい生き物の生態に感動させられた1年となりました。
新しい年も、興味深い生き物たちの世界を楽しみたいと思います。
Written by 倉方