バイオフィリックデザインとは
人は生まれながらにして自然や生き物を好む性質 =「バイオフィリア(生命愛)」がある、と言われています。(第1回「バイオフィリアって何?」)
「バイオフィリックデザイン」は、デザインの中にバイオフィリア理論の概念・仮説を適用し、空間、建築環境における自然のつながりを向上させるものです。
例えば、ストレスや仕事の疲れが日常的になっている職場において、バイオフィリックデザインを取り入れることは、効果的な職場環境づくりにつながります。
自然環境と集中力の関係
人の集中力は90分以上が限界、とよく言われます。
集中力がきれたとき、みなさんはどうしますか?
ミシガン大学の心理学者Rachel and Stephen Kaplan(1995)は、自然の中にいると精神的疲労が軽減され、より集中できるようになるという理論を唱えています。
これを注意回復理論といいます。
集中を継続するための注意力には以下の2つの種類があります。
①自発的注意
②非自発的注意
①は1つのことに集中した状態で、ずっと続けると精神的に疲れます。
②は複数のことに注意が分散した状態、つまり五感で周囲の環境を感じ取っている状態で、精神的疲労を軽減します。
②は無意識におこなっており、周辺環境の刺激要素の多さが大切となります。人の注意を分散するための刺激要素(注意回復要素)は自然環境に多く含まれています。
4つの注意回復要素
・解放 ・・・日常やストレスを感じるものからの解放
・広がり・・・別世界への広がり、遠近感や見通しのある景観、窓からの景色も含まれる
・魅了 ・・・五感にふれるもの、惹きつけられるもの(花、葉、色、光、水、香り…)
・適合性・・・人間本来のしたい行動がとれること
バイオフィリックデザインではこのような要素に配慮しながら空間を構成していきます。
現代の生活様式のなかでは、なかなか大自然とふれる機会は少ないかもしれませんが、身の回りの環境からちょっとずつ植物や花などの自然の要素を取り入れて、心やからだに優しい環境を整えていきませんか。
次回は人が進化の過程で遺伝的にどんな景観を好むのか、バイオフィリア(生命愛)仮説にもとづいて見ていきます。
どうぞお楽しみに~
Written by A.F.