交流・景観・建築デザインの力で“感動”を演出するために、企画から事業計画・運営までトータルにプロデュースしている株式会社TONZAKOデザインが贈る、仕掛け人インタビューのコーナーです。まずは、TONZAKOデザインのメンバーのインタビューからスタートします。仕掛け人たちと共に、感動体験をつくるメンバーたちの個性を感じとっていただけたら幸いです。
目次
- スペクタクルクリエイター 松崎淳 Atsushi Matsusaki[後編]
- 人の心が動かないランドスケープは何の意味もない。
- 空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
- 若い時は一人で何でもできると思っていた。でも、実はそうじゃないことを教えてもらったの。
- ちょっと、正しいこと言っていい?(笑。「人間が、動物としての人間らしく生きられる社会」になるといいなあと思ってる。
- 空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
- 遺伝子を持っているからしょうがないよね。コロナ自体が野生界から人間界に来たんだよね。
- 雷とか台風とか大好き。地球が生きている感があるから。環境が変わることで進化って生まれるのよね。
クリエイターインタビューNo.1(後編)
「ランドスケープデザイン」の松崎氏と倉方氏、「建築設計」の山田氏、「事業デザインから施設運営」の小森氏。その4人が5人の仲間と立ち上げたTONZAKOデザイン。まだ設立1年だが、いろいろな相談が持ち込まれています。そこには言葉にできない不思議な魅力があります。その魅力を探るべく、立ち上げメンバー4人の経歴や考え方、何を考え、どこに向かおうとしているのか?また、プライベートをお届けします。
スペクタクルクリエイター 松崎淳 Atsushi Matsusaki[後編]
取材日:2020年6月9日
後編~目次~
◆人の心が動かないランドスケープは何の意味もない。
◆空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
◆若い時は一人で何でもできると思っていた。でも、実はそうじゃないことを教えてもらったの。
◆ちょっと、正しいこと言っていい?(笑。「人間が、動物としての人間らしく生きられる社会」になるといいなあと思ってる。
◆空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
◆遺伝子を持っているからしょうがないよね。コロナ自体が野生界から人間界に来たんだよね。
◆雷とか台風とか大好き。地球が生きている感があるから。環境が変わることで進化って生まれるのよね。
人の心が動かないランドスケープは何の意味もない。
人の心が動かない景観や空間は意味がない気がするのよ。例えば「これがきれいだなぁ」と思ったら、「家に持って帰ってやってみようかと思う」そういう人が増えると、そこに需要が生まれるでしょ?そこに需要が生まれると、生産する人、流通する人が潤ってくるでしょ?そうすると、その人たちも頑張るから、もっといいものができてくるでしょ?そうすると、それを買う方は多様性が出てくるから、もっと楽しくなっちゃうでしょ?空間って、そういう力がないとだめなのかもね。
人間の目に見えるものすべてが景観だよね。都市の景観も同じだと思う。都市ってさ、魅力的、刺激的じゃないと、都市であり得ないんじゃないかな。刺激的なモノが、僕が作るものでなくてもいいんだ。なぜならば、作ったものはすぐに刺激がなくなるから。刺激を発する舞台みたいなものをつくれればいいな。それが都市のランドスケープなんじゃないかなぁ。
今、ある公園の一部の施設の設計の仕事が進んでるの。僕はそこに「舞台」を作りたいと思ってるのよ。そこにしかできない、刺激的な舞台を。楽しみにしててね(笑。
空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
何のために、動物園に動物が来ているか?という話。長くなるけどいい?理不尽なところなの、動物園って。動物って本来、子孫を残すために生存しているわけじゃない?それを制限された世界なのよね。じゃ、なんで動物たちが動物園に来ているかというと、野生界の今の状況を、僕たち人間に知らせるために「メッセンジャー」として来ているんだよね。そんなことを言っているのは僕だけだけどね(笑。でも、そんな風に動物園を運営してくれるといいなぁって思ってる。
動物園の歴史は省略させてもらうとして、動物園で飼育する野生動物の減少ってとんでもないじゃない?それは遺伝子の問題でもあり、血が濃くなりすぎて、動物の子孫が残らなくなる可能性とかもある。人間が地球の中で共に生活をしている生き物を失ってしまうということは、地球の財産を失ってしまうことになるんだよね。だからさ、捕まえられて動物園に来てしまった動物たちは、「メッセンジャー」として扱ってほしいんだよね。
お世話になった「到津の森公園」の岩野さんと旭山動物園の小菅さんとお会いさせていただく機会が多くて、動物園は何のためにあるんだろうね?とか、今後どうなるんだろうね?とよく話すのよ。そこの中で、自分なりに考えるの。
エモーショナルシェアって聞いたことある?一番エモーショナルシェアの評価が高かったのが劇団四季だったの。そこに参加した人が同じ心の動きをシェアできたというんだけど、今後はそういうものが必要なんだろうなぁって。
今、野生界の動物を考えないといけないんだなぁとか、自分の暮らしと密接に結びついているんだなぁとか、どんな社会になったら人間と自然環境が地球の中で生きていけるんだろうなあ?とか、そういうことを考えられるような「心の動き」というのを、動物園から発信していかなきゃいけないだろうな?って、考えるの。そんな動物園のランドスケープができたらいいよね(笑。
若い時は一人で何でもできると思っていた。
でも、実はそうじゃないことを教えてもらったの。
人間一人の能力は限られているから、いい社会を作ろうと思ったら、いろんなプロフェッショナルが必要だろうなぁって。僕、基本が高慢ちきだから、自分で何でもできると思っちゃうの。でも実はそうじゃないというのを、いろんな人に教えてもらったの。
人間なんでもできるわけじゃないから、みんなの得意分野だったり、知恵を集めていけば、もっと新しいことが生まれるんだろうなぁと。
ただね、誰でもいいと思ってないんだよね。自分がプロだと思っている人。そういう人達の集まりじゃないと、いいものにはならないと思ってるんだ。だからね、うちのスタッフにも、みんなにプロになって欲しい。
僕は動物園、フラワーランドスケープのプロかな。お庭を造る人ではないのよ。すっごいやつを作りたいと思ったら、声をかけてほしいかな。「見たこともないようなやつ」とか「新しいもの」だとか、「社会的に意義があるもの」だったら、僕、喜んですごいものを考えると思う(笑。
株式会社TONZAKOデザインは2019年1月に、スタートしたんだけど、今は車でいうと「ラッピング期間」かなぁって。今はすり合わせの期間かなぁって思ってる。みんな、それぞれ価値観が違うでしょ?そのすり合わせの期間かなって。この期間のうちにぶつかってみないといけないなぁって。そのラッピング期間のうちにいいぶつかり合い方をすることで、将来楽しくなるんじゃないかなって思ってるんだけど、ありがたいことに、みんな忙しくてね。まだ、ぶつかり合えていない感じ(笑。山田さんは純粋な宇宙人。小森さんは生真面目な頑固おやじ。倉方さんは謙虚すぎるふりの探究家って感じ。どう、楽しそうでしょ?
ちょっと、正しいこと言っていい?(笑。
「人間が、動物としての人間らしく生きられる社会」になるといいなあと思ってる。
動物としての人間。その人間らしく生きられる社会になるお手伝いが、一つでもいいから、できればいいんじゃないかなって思っている。
足るを知るということが、今の世の中には必要なんじゃないかな。足るを知るために、お手伝いできるとしたら、自然とのふれあいなのかなって思う。
チンパンジーだったり、ゴリラだったり、森に棲んでいたでしょう?それが草原に出てきてさ、人間らしくなり、洞窟に住みながら、動物を食って、これを育てたらもっと豊かになるぞって、田んぼとか麦を育てて、今に来てるでしょ?
地球に比べたら、人間の力って小さいからよかったんだけど、今はちょっと出しゃばりすぎている感じだから、色々問題がでてきてるのかな?樹林から草原へと自然から出てきているわけだから、自然に入っていくとか、自然のものを身近に感じるとか、そういうことが大事なんだろうなあと。地球が怒らないようにすることが大事なんだろうね。そして、それのお手伝いができればいいんだ。
人間って創造する動物じゃない?創造するって、学校で習うことじゃない。予期せぬことが起こった時、地球が知らない動きをした時が、一番創造して、未来を予見できる時じゃないかな。子どもが「この枝が折れるかどうか」とか、経験しながら危険や自然との付き合い方を学んでいくように、予知しないことが起こるわけじゃない?そういうところで初めて、頭を巡らすんじゃないかなと思うんだ。
都市の中の密閉された空間にいると、そういうことってなかなかないでしょ?そうすると、ちょっと先の未来を見る力が、衰える可能性があるような気がするんだよね。
自然の中って不便じゃない?だから工夫が必要なんだよね。
創造することが無くなっていった世の中って、衰退しかないんじゃないかなぁって思ってる。
空間をつくるということは、社会と地域につながっている。地球とつながって、生きている感がある。
動物園の仕事をしてからかな、動物園の人達と仕事をしてからかな。ランドスケープとか建築をつくるということは、「社会」とか「地球」と繋がっているんだという風に感じていたんだ。
遺伝子を持っているからしょうがないよね。
コロナ自体が野生界から人間界に来たんだよね。
コロナウィルスも遺伝子を持っている生き物じゃない?それが人間界に来てるんだけど、人間のそばにいなきゃいいわけじゃないかなと思う。
ウィルスも自然界の生態的地位をもっているの。そこでは健全に生きてるわけよ。そういう風に、人間の視点じゃなくて、自然の一部だという風に見ていかないといけないんじゃないかなぁって思ってる。
なぜって?コロナウィルス自身を殺してしまえとか、コロナを持っている生き物を殺してしまえ!という風に言われかねないなぁと。野生界から来ているから、野生界も消毒してしまおうとかね。そんな世の中で、いいのかなと思うんだ。
人間自体の交流範囲が広がり、動く人数が増えたことも一つの原因だと思うんだ。だから、今後、もっと他のウィルスは出てくるやろうなぁって。気候変動もあるしね。
人間って、一つのものごとについて執着するじゃない?ワクチンが出てきたら気に留めなくなるでしょ?今はうつるのが怖いから、右往左往してしまうけど、ワクチンが開発されたら収まるはずだから。今、過渡期なんじゃないかな。大震災があった、でも、今、騒いでないよね。
雷とか台風とか大好き。地球が生きている感があるから。
環境が変わることで進化って生まれるのよね。
太古の昔ね、馬は北アメリカで生まれたの。でも今現在、シマウマはアフリカにいるじゃない。なんでだと思う?昔って陸地が自由に動けたのよ。葦とか浮島とかあって、それが流れてアフリカとかに行ったと言われているの。今は、海岸も山も固められて、動物自体が動かくなったの。地球があくびをしただけで、人間は怒るよね。
環境が変わることで進化って生まれるのよね。どこの大陸でも、肉食獣、ニッチって言って、生態的な地位があるのよ。そこに当てはまるようになるの。環境が変われば、空きができて、進化をするはずなんだけど、今はそれを止めている状態。だから、人為的に起こさないと進化が起こらないのかもしれない。進化が止まった、進化しないんじゃないか?という危機感はあるの。
取材:川北睦子