最近気になっていた言葉があります。
それは「食物網」。
倉方氏のコラム『住まいをとりまく生き物環境』に出てくる言葉です。
生態系を説明する言葉
生態系の仕組みを説明する言葉として「食物連鎖」はよく使われますが、この言葉は聞いたことがあるようで実は意識したことがありませんでした。
「食物連鎖」を説明するときは生態系の上位となる大型の動物から始まり小さな動物や植物へといったピラミッド型の図をよく目にします。
「食物網」という言葉で説明するとこの図が複雑になります。
「食物連鎖」は横文字にすると「フードチェーン」、「食物網」は「フードウェブ」や「フードネット」になります。
食品業界でも使われる言葉
「フードチェーン」という言葉は食品業界でもよく使われる言葉です。
農産物や魚介類などが食卓に並ぶまでの流れを表す言葉になります。
食卓に食べ物が並ぶまでには、生産者、加工業者、流通業者、販売業者、飲食業者など様々な人が関わり、それぞれの立場で安全やコストを意識しながら努力をしています。
これを「食物連鎖」のように図で説明しようとすると、生産者から消費者までの一方通行になります。
鎖よりも網のような関係を
いまコロナウイルスで多くの産業が打撃を受けていますが、生産者は常に様々な危機と向かい合い続けています。
天災、病害虫、獣害、気候変動、相場に左右される価格など数多くの問題と日々対峙しています。
農業や漁業は人が生きるための糧とする生命を生み出す唯一の産業です。これに携わる生産者がいなくなったらどうなってしまうのでしょうか。
生産者が誇りをもって働き続けることのできる環境を整えることは誰もが考えなければならない課題だと思います。
そのためには一方通行の「鎖(チェーン)」ではなく、様々な関係者が複雑に絡み合う「網(ネットワーク)」のような関係を築いていくことが大切だと思いませんか。
Written by 小森