炒飯が好きです。
中国では、仕事などでお客さんとの食事となると、決まって円卓を囲んでの食事会になります。贅の限りを尽くした料理が並び、食べきれない程の量でもてなすのが中国流の食事風景です。
円卓を囲んでの食事も魅力的ですが、私に限って言えば、場末の飯店などで気楽に食べる食事の方が合っていたように思います。中国に行く機会が多かった頃、一人で動き回る際には必ずといって良いほど炒飯を食べていました。
卵と豚肉のシンプルな炒飯、ジャガイモの細切りがはいったもの、味付けも醤油系のものや、塩味のものなど様々です。地域や店によって違いがあるものの、油で炒めたご飯というものはこんなにも美味しいものかと、いつも思いながら食べておりました。
そんな中でも、雲南省の香格里拉という地域で食べた、青唐辛子の刻まれたものが入った炒飯が今も忘れられずにいます。町中の建物を調べるために一日中歩き回った後に、ビールとともに頂いた炒飯を恋しく思います。
焼肉も好きです。
中国に行くと、もう一つ必ず食べたくなるものとして焼肉があります。ただ、中国の焼肉は日本で良くみる網焼きのものとは異なり、鉄の串に刺されており、日本の焼き鳥に近い見た目をしています。
焼き方も、電・炭・油があり、高級店では電気で焼くものが多く、屋台では炭火、店舗では油で調理しているものが多いイメージがあります。
それぞれ一長一短と思いますが、僕としてはやはり、屋台や店の軒先で炭火焼きをしているタイプの焼肉が大好きです。豚肉、牛肉、魚に季節の野菜など、銀のトレイに所狭しと並べられた食材を選ぶと、唐辛子の有無を聞かれ、その場で焼いてもらえます。
僕の場合、焼きナス、羊肉、焼ジャガイモ、この3つを食べ続ければ幸せな晩酌となります。
注文したあと、最初の一品が焼きあがるまでの間、手酌で晩酌を始める時間がなんとも言えない良い時間なのです。大体最初に届けられるのがナスでした。ナスの開きに葱と唐辛子と味噌がかかっており、箸で皮からこそげ取りながら食べるのがたまらなく美味しいのです。
観光地に行くと、どれもこれも一本30元くらいしてしまうのですが、街の一角の屋台を見つければ、一本5元程度で食べられたりします。羊肉は少しだけ高く、10元くらい。屋台の場合、近所の商店でビールを買って持ち込めば、とても安く晩酌をすることができます。日本円で1,000円もあれば、食べて飲んで幸せになれていました。一人で調査に行っているときなど、宿の近くの道端の一角に現れる屋台を見つけては、今夜の店はここにしようなどと考えておりました。
調査後に、荷物を全部宿におき、一人晩酌に向かいます。コンクリート床にがらんどうの店内。プラスチックの椅子と、瓶ビールの栓抜きだけが置かれたテーブルで、ビールを飲みながら料理を待つ時間がなんとも言えず好きでした。
そんな光景がまだ残っていることを望みつつ、また調査に出るきっかけを探す日々を過ごしております。
Written by 人見