新しい事業を始める時には何かきっかけがあるはずです。
生活の糧を稼ぎたい…
お金儲けをして親に恩返ししたい…
好きなことや得意なことを人に知ってもらいたい…
会社の事業を多角化したい…
世の中をよくしたい…
地域のために貢献したい…
そしてその思いを実現するために、具体的な事業のプランを考えることになります。
妄想を構想に
「絵に描いた餅」という言葉があります。どんなに素晴らしい計画でも実際にやってみなければ「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
でもまず絵を描かないことには何も始まりません。
事業を始めるときにまずやることは事業計画という絵を描くことです。
集客交流事業であれば、お客さんにどんなサービスを提供して楽しんでいただくのかを妄想するところからスタートします。
何のためにやるの?
誰のためにやるの?
横文字にすればコンセプトとターゲット。
そして何を、どうやって…などなど頭に浮かんだことを文字にしていきます。妄想が構想に変わっていきます。
この段階がものすごく大切です。
共に事業に取組むメンバーとここが共有できさえすれば後はスムーズに進むことが多いです。
構想を計画に
概ねの方向性が決まれば具体的な計画づくりです。
計画は大きく施設を整備するためのハード部分に関するもの、そして具体的なサービス内容や事業を営むための費用や人員に関するソフト部分に分かれます。
どちらを先に考える必要があるかといえば、ソフト部分が少し先行しつつ、それに合わせてハード部分を考えていくのが理想です。
「ハコモノ行政」という言葉を聞くことがありますが、施設をつくったものの上手く利用されずにお荷物になっている施設は全国各地にあります。
必要性があるので整備されたのでしょうが、「どのように運営するのか」といったソフト部分をしっかりと決めない段階でハードが先行してしまうために、管理者にとっても利用者にとっても使いにくい施設になっているのではないでしょうか。
またこうした施設は得てして「多目的」といった言葉も使われることが多い気がします。誰もが利用できるということは一見良い事のような気がしますが、利用目的が曖昧になってしまい、「わざわざ行きたい場所」とはならないのでしょう。
事業計画に必要なモノ
これまで様々な集客交流事業に関わってきました。
自分自身が運営スタッフとなるものから、外部の方から依頼をいただいて、事業をスタートするためのプランづくりのお手伝いや開業に向けての支援なども行ってきました。
事業を始める時の事業計画を考える際に心がけていることがあります。
小さな村の特産品を作り出し、地域活性化業界(そんな言い方あるのかな?)では有名な取組の仕掛け人であるMさんから、ある事業の提案をするのでチョット手伝ってという依頼がありました。
詳しいことも知らぬままヒョコヒョコついて行くと、地元で事業を営む方々と行政の長が待ち構えておられました。
おもむろに大きな模造紙を数枚広げ、Mさんのプレゼンテーションが始まりました。
模造紙には黒とオレンジの筆ペンで書いた文字やイラスト、模式図などが書き込まれています。
パソコンできれいに作った資料ではないので、そのまま渡されたら何が何だかわからないような代物です。
その事業のコンセプトやターゲットなどがその資料に則って説明されていきます。よくよく見ると事業を行う場所の土地利用計画も落書きのようなもので表現されています。
そしてターゲットとなる人たちや働くスタッフの姿も様々な場面を想定して描かれており、具体的な取組内容の説明に入ると必ずお客さんやスタッフが登場します。
それ以前にもこうしたプランづくりに携わってきていましたが、その資料とプレゼンテーションには衝撃を受けました。
プレゼンテーションが終わると拍手喝采です。誰もが笑顔でこの事業をやってみたいなーという雰囲気に包まれています。
Mさんからの指令は、
「今日来ていない人たちにも説明できるようにこれをレポートにまとめてねー」
というものでした。
恐れ多いというのが正直な感想。
その資料をそのまま生かしつつ、行間に込められた思いをプレゼンテーションで語られた言葉で補足してまとめることしかできませんでした。
これ以降、何かプランを考える時の心構えが全く変わりました。
お客さん、そして運営する人の姿を具体的にイメージすること。
それも漠然とした人ではなく、できれば氏名や素性までイメージできるレベルまで考えること。
そのために必要なことはやはりコミュニケーションです。
まだ見ぬお客さんとのコミュニケーションは難しいですが、運営スタッフの方たちとのコミュニケーションは必須です。それも飲みニケーションのように、たわいもない話ができることがとても大切になります。
運営スタッフにも家族や友人がおり、自分が頑張って取り組んでいる事業を応援してもらいたいはずですし、自慢できる事業にしたいはずです。
こうした人たちの思いを詰め込んだプランにできるかどうか。
事業のはじめの一歩に魂を込めること。これができればあとはチャレンジするのみです。