今年は、全国的に桜の便りが早く聞かれ、あっという間に北上していった、そんな慌ただしい春の訪れだったのではないしょうか。
私の生活圏内でも、地域固有とされる「タカトオコヒガンザクラ」が平年より10日早い3月26日に開花。開花宣言をするようになってから、最も早い開花となりました。
朝から声高らかにさえずる鳥の正体
そんなサクラ色に染まった山里での出来事の話です。
朝からひと際、大音量で響かせる鳥の声。初めて聞くその声は、とてもきれいな音色で(でも、けたたましい!)、家の中にいてもかなり近くで聞こえる。
慌てて、そーっと探すと...。
その正体は、目の白い縁取り、目尻に伸びる力強いラインが特徴の“ガビチョウ(画眉鳥)”。
地上に降りて餌探しなのか、終始忙しなく動きまわるので、うまく写真にはおさめることができず。でも、その特徴はなんとか捉え、鳥の名前を調べることが出来ました。
まさかの「特定外来生物」が身近に生息!?
さて、この“ガビチョウ”。
ペットとして輸入された外来の鳥ですが、過去に飼い鳥が逃げ出す、あるいは飼い主によって放たれ野生化した、いわゆる「かご抜け鳥」。関東以西を中心に留鳥として生息しているようです。
現在も分布を拡大しつつあり、問題視されている鳥類の1つで、2005年には「特定外来生物」に指定された種でした。また、日本生態学会が定める「日本の侵略的外来種ワースト100」にもリストアップされています。
信州でもすでに生息が確認されていますが、私は初見。なんとも素直に喜べない複雑な出会いとなりました。
(環境省九州地方環境事務所HPより引用※)
もうひとつの「特定外来生物」“ソウシチョウ”
同じような経緯で野生化し、「特定外来生物」となっている鳥に、“ソウシチョウ(相思鳥)”がいます。
たまたま、“ガビチョウ”との出会いの2週間ほど前に、“ソウシチョウ”について知る機会がありました。
名古屋市の最高峰「東谷山」でのこと。いかにもバードウォッチャー風にカメラをぶら下げて歩いていたら、散歩中の地元のおじ様に声をかけられました。
私が鳥に詳しいと思ったようで、“ソウシチョウ”という鳥を知っているか?と。日常的に散歩する東谷山でキレイな鳥が群れでいて、写真に撮っていたのだけど、最近その鳥の名前がようやく分かったんだと見せてくれました。
その日は、残念ながら生の“ソウシチョウ”は見かけなかったですが、写真を見ると、喉元から胸にかけて黄~橙色が美しいキレイな鳥。是非とも実際に見てみたいと思わせる鳥でした。
(環境省九州地方環境事務所HPより引用※)
素直に喜べない野鳥たち
野山でキレイな野鳥を見かけたり、美しい鳥の声が聞こえると普通はうれしいものですが、これらが素直に喜べない鳥たちだということに、今回、後から調べて知りました。
ちなみに、ガビチョウの特技は、どうやら鳴きまね。ウグイス、シジュウカラなどの鳥だけでなく、セミ(ツクツクボウシ)の鳴きまねもするようです。
ちょうどこの季節、ウグイスの鳴き声も良く聞こえるようになりました。なかなか姿まで確認できないウグイス。もしかしたら、普段聞こえてくるウグイスの声も、ガビチョウの仕業?と、不安がよぎったのでした。
※出典詳細:
環境省九州地方環境事務所HP
『ソウシチョウ・ガビチョウの捕獲、飼養等の禁止について』啓発用チラシより
http://kyushu.env.go.jp/wildlife/mat/m_2_5.html
Written by 倉方