特集 カーボンニュートラルは産業革命だ #2

Contents (記事内容) 

  1. 温室効果ガスとは
  2. 地球上のCO2は、46億年かけて土中に固定され減少してきた
  3. 温室効果ガスの内、CO2は森林に吸収される

はじめに

地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどの温室効果ガスが増え、宇宙に放出されるはずの熱が地表にたまり過ぎた結果、ある一時期またはある場所の気温が上昇したり、地球全体の気候が変化することです。

温室効果ガスとは

出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

温室効果ガスの代表的なものはCO2です。CO2は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)を燃焼すると発生します。

石油や天然ガスは太古の時代にプランクトンなどの生き物の死骸が地中深くに堆積し、バクテリアと地熱の作用により、石油などに変化したものです。石炭は、植物の遺骸が腐食や発酵せずに地中に堆積し、圧力と地熱の作用により石炭化が進んだものです。これらの化石燃料は、地中にCO2発生の元となる炭素を固定しています。

この化石燃料をエネルギーに利用する段階で、CO2が発生します。

また、化石燃料である石油などは、プラスチックや合成繊維、合成ゴム、塗料、洗剤などにも利用されています。これらの製造段階でのCO2発生、また原材料として炭素を含むため廃棄処理段階でのCO2排出が問題となります。

農業分野でも水田、家畜の消化管内発酵、家畜排せつ物管理等によるメタンの排出や、農用地の土壌や家畜排せつ物管理等による亜酸化窒素排出、施設農業の暖房などのCO2排出など、地球温暖化ガスの排出が問題となります。

その他、フッ素ガスなど多くの種類の温室効果ガスを発生しています。

これら温室効果ガスには、地球温暖化係数という、それぞれの温室効果の程度を示す値があります。実際には、ガスそれぞれの寿命の長さが異なることから、温室効果を見積もる期間の長さによってこの係数は変化します。この値が高いほど、温室効果が高くなります。

出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

地球上のCO2は、46億年かけて土中に固定され減少してきた

化石燃料である石油や天然ガス、石炭などは生き物の死骸や遺骸が変化したものであるという話をしました。

46億年前、誕生したばかりの地球の大気は、高温・高圧の水蒸気が大部分を占め、その他にCO2、窒素などを含んでいたと考えられています。その後、数億年かけて地表が冷え、水蒸気が雨となって地表に降り注いで海ができると、大気の主成分はCO2と窒素になりました。

さらに、海にCO2が溶け込み、その一部がカルシウムイオンと結合して、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積することにより、大気中のCO2は減少し、大気の主成分は窒素になりました。

およそ27億年前、太陽の光エネルギーを利用して光合成を行うラン藻(シアノバクテリア)が海中に誕生し、CO2と水から有機物と酸素が生成されるようになると、大気中のCO2はさらに減少し、酸素が増えはじめました。

その後、生物が進化して陸上に進出し、多様な植物による光合成が活発に行われることで、酸素はさらに増え、大気は数十億年かけて、窒素と酸素を主成分とする現在の組成になりました。

このように森林や草原、海中の植物プランクトンなどが、CO2を吸収し、そこに生息する動物や魚などが植物を食べ、植物の遺骸、動物や魚の死骸などが土中に蓄積し、化石燃料に変化しました。

人類の生産活動が今ほど活発でない時期には、この循環により、地球上のCO2は減少傾向にありました。

温室効果ガスの内、CO2は森林に吸収される

化石燃料を使用する現在も、植物体は昼間、光合成によりCO2を吸収し、夜間、呼吸によりCO2を排出し、その差が植物の成長量として、植物体の中に蓄積されます。

40年生程度の健全なスギ林1ヘクタール当たり、年間8.8t程度のCO2を固定すると言われています。

令和2年度環境省調査(コロナ禍)の1世帯当たりの年間エネルギー消費量(電気・ガス・灯油・ガソリン等)から見たCO2発生量は年間2.88tと言われています。約0.3~0.4ヘクタールのスギ林(40年生程度)面積に該当します。

IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書によれば、現在の地球上のCO2は、人間活動での排出量が増えすぎたため、年間161.6億t・ CO₂ /年のCO2が大気中に残留しています。これは、地球のCO2吸収量の約2%にあたります。

CO2の濃度は、産業革命前1750年の280ppmから2013年には400ppmを超え、実に40%以上も増加しており、IPCCでは、大気中のCO2、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加していると報告しています。


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次回は、カーボンニュートラルと産業革命について見ていきます。