特集 カーボンニュートラルは産業革命だ #3

Contents (記事内容) 

  1. 世界の国々で決められ、実現すべき温室効果ガスの排出抑制
  2. カーボンニュートラルの実現には高いハードルがある
  3. 産業革命を起点とした化石燃料の利用と経済成長

はじめに

地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどの温室効果ガスが増え、宇宙に放出されるはずの熱が地表にたまり過ぎた結果、ある一時期またはある場所の気温が上昇したり、地球全体の気候が変化したりすることです。

世界の国々で決められ、実現すべき温室効果ガスの排出抑制

1997年、世界各国の政府代表者が日本の京都に集まり、第3回目となる、国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP3:Conference of Parties)を開催しました。この会議において採択されたのが、「京都議定書」という国際条約です。

日本は、「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約6%削減すること」を約束しました。「チーム・マイナス6%」を合言葉に様々な取り組みが行われましたが、目標実現には至りませんでした。

パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、世界約200か国が合意して成立しました。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする 。
  • そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる。

その後、日本は、2030年には温室効果ガスを2013年比46%削減、2050年にはカーボンニュートラル、つまり、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを世界に約束しました。

カーボンニュートラルの実現には高いハードルがある

京都議定書を受け、日本では2012年を目標とした1990年比で6%を削減する挑戦を行いました。6%を削減するだけでも大きなハードルになりました。

2030年まで、あと8年。日本は温室効果ガスを2013年比46%削減する目標を達成できるのでしょうか?

1990年からの温室効果ガスの排出量を見ると、パリ協定で決定された基準年となる2013年の排出量が最も多くなっています。そこから、徐々に減少傾向にあります。

2019年度からは、コロナ禍のため経済活動が低迷しており、それに伴い二酸化炭素排出量が減少しています。2020年度には、約11億500万トンと、基準年である2013年の14億800万トンの約78%まで減少しています。

経済活動が低迷し、人の移動が規制された2020年度でさえ、2030年の目標値である46%削減には到底及んでいません。

こうした状況の中、地球温暖化ガスの排出抑制、規制がかかると、現在の産業構造はどうなるのでしょうか。

産業革命を起点とした化石燃料の利用と経済成長

化石燃料を利用した現在の文明は、産業革命に端を発します。

18世紀半ばから19世紀にかけて、農業から工業への産業転換が起こり、植民地政策などにより市場と原料供給地が世界規模へと拡大し、労働者階級の成立と技術力により、生産性が向上された産業革命がおこりました。

この生産性を高める要因となったものが蒸気機関の技術でした。1769年にジェームズ・ワットが発明した化石燃料を利用した蒸気機関は、19世紀初頭に特許が失効し、広く利用され、その技術を高めていきました。 その後、電気や石油を利用した重工業化、原子力を利用したエネルギ獲得の効率化が進み、現代に至ります。

現代の産業構造は、18~19世紀の産業革命の延長線上のベクトルで発展してきました。しかし、ここ近年では、金融緩和による経済政策が行われても、先進国のGDPの伸び率は短期・長期で停滞してしまっています。

化石燃料による産業基盤は、環境面、経済面から限界を迎えつつあり、新たな経済発展のベクトルが必要な時期に来ています。

化石燃料の経済発展ベクトルに終止符を打つ新たなベクトル。この契機となるものがカーボンニュートラルなのではないでしょうか。

次回は、新たな経済発展のベクトルを探る契機となるカーボンニュートラルについて見ていきます。


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